平成25年度人権・ハラスメント講演会

                                   徳島文理大学

平成26年2月25日(火)、学園本部・徳島キャンパス教職員を対象に、カウンセリング・エナジー・オフイス代表で心理学博士の藤岡秀夫氏を講師として招き、「セクシュアル・ハラスメントの防止と対処」の演題による講演会を実施した。講演内容の一部を紹介する。

○働きやすい職場の安全安心対策

     ~起こることを前提に対策をするのが安全の鉄則~

 

「私は、セクハラをするはずがない」と思わずに、「セクハラは起きるかもしれない。ひょっとすると私自身がするかもしれない」という意識を持ち、自分自身の発言や行動に意識を持つ必要がある。

○男女雇用機会均等法による是正指導・相談内容等の実態

 

 平成24年度雇用管理の実態調査を行った5490事業所のうち、4087事業所で均等法違反による7696件の是正指導が行われ、その約7割がセクシュアル・ハラスメントに関する指導事項であった。また、労働者からの相談内容も約6割がセクシュアル・ハラスメントに関する相談であった。平成19年の改正で男女両方に適用され、平成267月1日施行においては、同性に対するものも含まれることが明示された。

○自身の言動で注意すべきことは?~セクシュアル・ハラスメントを起こさないために~

①「この程度なら許される」とか「親しさの表れ」というのは、自分勝手な思い込み。自分の言動に気付こう。

②相手が拒否したり嫌がっていることがわかったら、二度と同じ行動を取らない。抗議を受けたらすぐ謝ることが重要。

③相手は、上下関係や人間関係を考慮し拒否の意志表示が行えず、我慢や笑ってごまかしていることも念頭に置くこと。

④職場の中だけでなく、職務時間終了後の宴会などで起きることが日本の実情である。アフターファイブも要注意。

 

 

○「ハンナ・アーレント」の映画から学ぶ

 講演の最後に、「『ハンナ・アーレント』の映画を知っていますか?」と問いかけた。映画の中で、ホロコーストの主導的幹部であり、600万人のユダヤ人をガス室で虐殺したアドルフ・アイヒマンが被告人として語ったのは、「民族的な差別意識も、憎悪も侮辱もない。ただ命ぜられた業務を仕事として効率よく遂行しただけだ。」と思考を停止したオペレーター(機械操作者)としての言葉だった。

 

自分の仕事や言動が相手にどう影響を与えているかを常に意識し、より人権意識の高い徳島文理大学づくりに向け、まずは、本学の教職員が実践し模範を示すことの重要性を強く自覚することができた講演会であった。

        徳島大学人権教育研究協議会発行の機関紙「エガリテ」掲載